警察歯科医ってなに?~歯科情報からわかる身元情報~

ここ数年日本や世界各国で大きな自然災害が多発しています。

思い出したくない記憶ですが、日本でも2011年3月3日に東北地方太平洋沖地震に伴って発生した津波や、その後の余震により起こされた大規模地震災害である東日本大震災が発生しました。※Wikipediaより

この震災で命を落とされた方や、現在も行方が分からない方も多くいます。

人気歌手のGreeeeN(メンバーは全員歯科医師)のリーダーも、福島第一原子力発電所から20キロ圏内での検死作業に携わったそうです。

身元不明者はどのように特定されるのでしょう

身元不明のままでは家族の元へ帰ることができません。しかし、お口の中の情報から該当者を確認する警察歯科医という組織があります。

警察歯科医とはどのようなものなのでしょうか

発足のきっかけは、昭和60年の群馬県御巣鷹山日航機墜落事故の時に警察歯科医の必要性が認知されたためです。昭和61年に警察庁刑事局長より日本歯科医師会宛に警察歯科組織についての要望文書が出され、これを契機として全国に警察歯科医並びに警察歯科組織が誕生しました。

事件や、事故、災害などで亡くなった遺体のお口の中の状態や歯の型などから身元の確認を行う歯科医師のことを警察歯科医といいます。全国でも歯科医師会を中心として、警察歯科医会とよばれる組織も増えてきています。

警察歯科医は以下の図のように一般の歯科医師が専門の研修を受け、警察歯科医となります。

警察歯科医

どうしてお口の中だけで身元の確認ができるの?

みなさんのお口を見ていただくとわかるように人の歯や歯列の状態などは一人ひとり違います。また、人間の歯はとっても固い構造のため、亡くなってから少し時間がたってもそのままの状態を保っていることが多くあります。

そのため、歯科治療の経歴やレントゲン写真、カルテの記録などを照らし合わせて身元を確認します。

お口の中以外にもさまざまな所見から身元確認をします

・住所や所持品からの特定

所持品に身分証明書などがないかなどを確認します。津波などで流されてしまった場合は住所からの特定は難しくなります。

・顔を直接みて確認(面確)

顔をみて確認できる場合は顔を見て確認します。

・指紋やDNA型

これらは一人ひとり違うのでそこから特定していきます。

その他に体の特徴などからも特定していきます。

警察歯科医の業務は身元確認作業

警察歯科医の主な業務は身元確認作業です。

警察歯科医はその方が生前どのような治療をしていたか、お口の中の観察、歯列の形、歯科の記録などを照らし合わせて身元確認に役立てています。

実際は、歯のすりへり方などからその人の癖や年齢の推測、顎や歯の形から男女どちらかの推測、残存歯など治療の形跡から年齢層の推測などができます。

歯科の分野の役割

このようにお口の中には多くの情報があります。

身元不明者が一人でも減るように歯科の分野でもこれからもっと役立てるようになればと思います。